カワハギ~旬や栄養素と捌き工程~

魚の便利帳食べつくす

どうも、コウヅです。
今回はカワハギについて書いていこうと思います。
一般的に食べられているカワハギって実は2種類あって、ちょっと安くて馬面なウマヅラハギとちょっと高級なひし形の本カワハギです。今回はちょっと高級なひし形の方を捌いて食べてみました。コイツです。


ひし形っていうより楕円型?

カワハギの学術的分類は「フグ目カワハギ科カワハギ属」であり、フグとは遠い親戚にあたります。その為身質や味もちょっとフグに近く、テッサのように薄造りにしてポン酢と紅葉おろしを添えると、フグとして提供しても少ししか違和感ないほどです!(少しはある)フグと似ているなら毒が心配と思う方もいらっしゃると思いますが、肝が有名なくらいですからもちろん全身無毒です。しかし、カワハギ科には有毒の魚が多く存在しており、特に「キタマクラ」や「ソウシハギ」という魚は海岸からも容易に釣れてしまい、容姿もカワハギやウマズラハギと似ている為注意しなければなりません。しかもソウシハギの内臓には「パリトキシン」というフグ毒のおよそ70倍にもなる猛毒が存在しており、食べたらマジでシャレになりません。カワハギっぽい魚を釣った場合はとりあえずTwitterに「でっかいカワハギ釣りました!!これからキモ醤油にして食べます!!!」と投稿すると親切な人たちが食べれるやつかどうか判定してくれるのでおすすめです。
カワハギは雑食で、甲殻類、多毛類、貝類、海藻、さらにはクラゲまで食べます。カワハギは捕食方法が変わっており、海底に向かってあのおちょぼ口から強い水流を吹きかけ砂や泥を舞い上げて、そこに隠れていた餌を素早く捕食するといった食べ方をします。
また泳ぎ方も特徴的で、他の魚のように体全体をくねらせて泳ぐのではなく、移動するときは背ビレや尻ビレをたたんで、尾ビレだけを使って泳ぐ。そして餌を食べる時は背ビレと尻ビレをうねらせバランスをとり、胸びれで方向転換し、海の中でホバーリングしているかのように一定の位置に器用にとどまる泳ぎ方ができるのです。そのため、一気に食いつくのでは無く突っついて餌を食べることができ、釣り人の間ではエサ盗り名人(名魚?)としても有名です。

旬と栄養素

カワハギの旬は2回あります。1回目は身の旬である7~9月です。カワハギの産卵期は5月から8月で、産卵が終わり体力が回復してきた辺りが最も身に栄養が行きわたって美味しいようです。これまで調べてきた貝や魚は産卵期直前が最も美味しいとされていたのでちょっと意外でした!2回目の旬は肝の旬である11~2月です。産卵を終えたカワハギは餌の少ない冬と次の産卵に備えて栄養を蓄えます。その溜め込まれる場所が肝であり、脂肪分や栄養分がたっぷり詰まり大きくなった肝はとても美味しく、第2の旬とされています。いや、むしろ肝に価値があるカワハギの真の旬はこっちなのかもしれませんね。

栄養素としての特徴はちょい高タンパク超低脂質であることです。カワハギの可食部(骨や内臓を除いた食べられる部分)100g当たりのタンパク質量が18.8g。脂質は100g当たりわずか0.1gしかないのです。これがどれほどの数値かというと、鯵の脂質のおよそ35分の1、鯛のおよそ58分の1といった脂質の低さなのです。マグロのトロに至っては275分の…しつこいですね、すみません。
ビタミン類はやや少なめなのですが、タンパク質を効率よく利用する働きをもつビタミンB6が多く入っているのでダイエット中、筋トレ中の方にはもってこいの食材なのではないでしょうか。
また、超低脂質であるのにもかかわらず、脂溶性であるビタミンDが異常に多いです。その含有量は鯛やマグロのおよそ8倍、鯵の約22倍にもなります。
ビタミンDは腸管からのカルシウム吸収を促進する働きがあり、血液中のカルシウム濃度を高め、骨や歯を丈夫にする効果があります。さらに、ビタミンDには免疫機能を調整する働きもあり、かぜやインフルエンザ肺炎などの感染症の発症・悪化の予防にも効果的です。
ビタミンDは日光を浴びるだけでも体内で生成されるのですが、欠乏すると骨や筋肉が弱くなったり精神状態にも影響が出るので引きこもりの方は是非積極的にカワハギを食べるようにしましょう。

捌き工程

※一応断っておきますが、僕はめちゃめちゃ素人なので「捌き方教えます」という感じでは無く、「YouTubeを駆使して捌き方を見様見真似でやってみたらこんな感じになりました」という体験記的なものという認識で読み進めてもらえると幸いです。(ホントに上手くなるまでこれ毎回書こう。)

カワハギは鱗が無い代わりに分厚い皮に覆われているので、まずその皮を剥がしていきます。
この時、口と角とヒレを最初に落としておくと皮を剥ぎやすいそうです。まぁ僕は口だけしか落とさなかったんですけど。角とか固いし…。落とした部分が取っ掛かりになるので、その部分(今回は口)の皮を掴んで一気に引っ張ると

つるんと剥ける

皮を剥ぐ瞬間はすごく気持ちいいので是非挑戦してみてください!
次に頭を落としていきます。この時に気を付けなければならないのが、内臓を傷付けないようにするという点です。普通の魚のように切断してしまうとメインの一つである肝臓を傷付けてしまい、さらに肝臓の傍にある緑色の「苦玉」と呼ばれる部分を割ってしまうと折角の肝が台無しになってしまします。それを防ぐためまずは頭部の骨を切断し内臓に達しない程度まで切れ込みを入れます。

そして切り込みをいれた後は頭部を一気に引っ張り身と分離させます。すると内臓は頭部にくっついたまま取れるので肝が傷つかずに済みます。

無傷の肝
頭部を剥がし終えた身

ここからは普通の魚と同じように三枚おろしにします。皮は剥がしてあるので今回はガイドラインを入れずに一気に卸します。
背びれ(もしくは尻びれ)の少し内側から包丁を入れ、まな板と並行よりちょっと立てる感じで切っていきます。この時中骨に当たってカリカリ音がしているとかなり上手に卸せています。

この辺に包丁を入れる

半身おろし終えると裏返して同じ作業を繰り返します。

ま、まぁまぁのできかな笑

これで三枚おろしは完了です。
続いて血合い骨を除去していきます。骨抜きのピンセットなどで一つ一つ抜いていくのもありなのですが、めんどうなので今回は身を割って取り除いていきます。

このへんに血合い骨が入っています。

血合い骨に沿って、できるだけ骨の部分だけを取り除く事を意識して包丁を入れていきます。

あ、腹骨剝くの忘れてました笑
腹骨を剝くときは一旦腹骨と血合い骨の接合部を断ち切るのですが、今回はもう血合い骨は除去したのでそのまま剝いていきます。 できるだけ薄ーく、ハラミをたくさん残すことを意識して剝き取ります。
そしてハラミを剝き終わると、後は刺身状に切り分けて盛り付けます。
カワハギはフグに匹敵する弾力と旨味があるので難易度は高いですが薄造りにして高級感溢れる疑似テッサで食べてみようと思います!

けっこう上手くいったと思います。まぁ手前のはマトウダイなんですけどね笑 奥のピンクっぽいのがカワハギです。

実食!

カワハギの食感はとても弾力がありしっかりとした歯ごたえでした。厚めに切った部分も食べてみたのですがちょっと弾力がありすぎて顎が疲れたのでやはり薄造りが最適だと思いました。
身に脂は少なくあっさりしてはいるのですが、しっかり旨味と甘味が感じられる魚で、フグに例えられるのも納得するほどの味わいです。また、フグでは決して食べられない肝を溶かした濃厚な肝醤油をたっぷり付けて食べると、さっきのあっさりした味わいとは打って変わってコクのある強烈な旨さが味わえます。高級料理店でフグ食べるより新鮮なカワハギ買って食べる方が満足度高い気がします。

魚の便利帳記入

みなさんおなじみ魚の便利帳

では第8種類目を記入致します。※魚の便利帳300種全部食べようという設定です。
カワハギは…あった!!書き込むの久々な気がします笑

フグより上らしいですよ↑
では次回、肝魚第2弾の「マトウダイ」を書くんでそちらもよろしければご覧ください~!

記事を書いている人

魚好き。見るのも釣るのも捌くのも食べるのも。
色んな珍しい魚を食べていると突然「魚好きを増やしたい」と思い立ち、ブログや魚会を開き密かに活動中。
師匠は「気まぐれクックかねこさん」(ただの視聴者です)
みんな、魚たべよ!

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