どうも、コウヅです。
今回はブサイクな高級魚「アカアマダイ」について書いていこうと思います。
アカアマダイの豆知識
アカアマダイといえば魚にしては珍しく流線形とはかけ離れた平たい頭が特徴的な魚です。
日本で食用として市場に流通しているアマダイは、アカアマダイ・シロアマダイ・キアマダイの3種類あります。最も漁獲量が多く、一般的にアマダイとして認知され市場に出回っているのはアカアマダイです。しかし、この3種類の中で最も美味しく高級とされているのはシロアマダイなのです。シロアマダイは他のアマダイよりも最も身がしっかりしており、甘味も別格らしいです。その上漁獲量はかなり少なく、釣り上げたら一生自慢できると言われる程に幻の魚とされています。その為値段も別格でキロ単価1万円越えも珍しくありません。シロアマダイに次いで美味しいのがアカアマダイで、キアマダイはかなり水っぽくお刺身ではあまり美味しくないようです。ちなみに生息している水深は高級度とは逆でキアマダイが最も深場に住んでおり、アカアマダイ、シロアマダイという順で浅瀬に生息しているようです。深海の方が魚って水っぽくなるんですかね?キンメダイとかノドグロとか深い所に生息してる魚の方が脂が乗って旨いってイメージだったのでこの結果は意外でした。
アカアマダイは水深30~150メートルまでの砂泥底地に多くの巣穴を作って集団生活します。ぬべーんとしたトロそうな外見とは裏腹に食性は肉食で、目の前で動いている生物はだいたい何でも食べてしまうようです。また、集団生活している割には各個人の縄張り意識がかなり強く、縄張りへの侵入者に対して激しく体当たりをして攻撃します。団地に住んでるのに近所付き合いめっちゃ悪くて何かあったらすぐキレるたちの悪い住人って感じですかね。しかもそれが種族みんなって…集団で生活しなきゃいいのに笑 しかし、この性質には理由がありました。アマダイ社会は実力至上主義の一夫多妻制を導入していたのです。産卵期には大型のオスの間でメス達を巡る争いが勃発します。そこで勝ち残った唯一のオスだけが群れのメス達を独占してハーレムを形成するのです。あんな草食系な顔しててゴリゴリの肉体派な生活してたんですね。魚も人も見かけによらないんですねぇ。
アカアマダイの由来としては他のアマダイと比較した時の体色が赤いので「赤」、新鮮な身はそれ自体に上品な甘みがあるため「甘」、鯛とは種類的に全く無関係なのだが鯛にあやかりたかったので「鯛」で「赤甘鯛」と名付けられたようです。アマダイは別名「興津鯛」とも言うのですが、これは江戸時代に徳川家康が静岡に居た頃、興津局という女性が献上したアマダイの生干しにとても感動し、家康自らがこの魚を「興津鯛」と命名したそうです。元々家康に献上するほどの高級魚だったアマダイはこのことをきっかけにさらに価値を高め、ブランド献上魚として重宝されるようになったそうです。そんな歴史的背景があるのなら高いのも納得しちゃいますよね。
旬と栄養素
旬の時期は所説あり絶対にこの季節が美味しいとは言えないのですが、産卵期が秋頃なので産卵前の夏~秋にかけてが旬説と産卵後体力が回復した冬が旬説の2説が有力です。中でも古くから有名な産地である若狭地方で水揚げされた「若狭グジ」というブランドアマダイは夏が旬とされており、市場にも8月頃からが最も多く出荷されるのでアマダイの旬は夏と認識しておいて良いと思います。僕の行きつけの鮮魚店にも夏に旬マークが書いてあったし。
栄養素として特徴的なのはミネラルが豊富に含まれているという点です。他の魚に比べカルシウムが特に多いのですが、骨まで食べない魚の中では前に紹介したメバルの方が断然多いため今回はスルーします。また、他のミネラル分ではカリウム、マグネシウムが多めに含まれています。
カリウムは腎臓でナトリウムの再吸収を抑制し、尿への排泄を促進します。つまり、体内の余分な塩分を出してくれるので、血圧を抑える効果があるのです。高血圧の方にはうれしい効果ですね!一方マグネシウムは比重の軽い元素であり酸素と結合しやすく点火すると激しい閃光を放って燃焼…あ、すみません化学好きが漏れ出てました。(何アピール) マグネシウムは筋収縮を制御して筋肉の働きを正常に保ったり、カルシウムやリンと共に骨や歯の形成に必要な栄養であることは有名ですが、実は血管の拡張効果もあり、血圧を下げる働きがあるのです。つまりこの成分もまた高血圧の方にとって喜ばしい効果があるため、アカアマダイは高血圧者にうってつけの食材だと言えるでしょう。
捌き工程
※一応断っておきますが、僕はめちゃめちゃ素人なので「捌き方教えます」という感じでは無く、「YouTubeを駆使して捌き方を見様見真似でやってみたらこんな感じになりました」という体験記的なものという認識で読み進めてもらえると幸いです。(ホントに上手くなるまでこれ毎回書こう。)
①まずはウロコ取りです。
今回はお刺身で食べるためウロコを取りますが、アマダイは何とウロコも美味しい魚らしいのです。塩焼きにする際にはウロコを取らずパリパリに焼いてそのまま食べ、食感を楽しむそうです。次アマダイ買った際にはウロコ付き塩焼きにしてみますね!
ウロコを取る場合、家にウロコ取りがあればそれを使って取るのがベストですが、無い方は包丁で尻尾の方から頭の方向に向かって逆撫でしていけば取ることができます。ウロコを取るときには胸ビレをクルっと180度回しておくと細部までしっかり取りやすいですよ!(できる魚とできない魚がます。)
②次は頭を落として内臓を取り出します。
魚の頭を落とすとき骨が固くてなかなか切断できない場合があります。そういった場合は骨の関節部分を探ってそこから切断すると包丁を傷付けず、簡単に落とすことができます。
また、骨を切断した後は完全に胴体と切り離すのではなく、内臓を傷付けないように身の部分だけを切って頭を引っ張ります。
すると頭に内臓がくっつてきて簡単に内臓を取ることができます。
(微グロのため内臓を撤去した写真を載せています。)
内臓を取り除いた後はお腹の内側の背骨についている血合いをキレイに洗い流しましょう。
指でも取れますが、使い古した歯ブラシなどを使えば簡単かつ綺麗に取り除けますよ。
この部分が劣化や臭みの原因になるので、寝かせて保存する場合などは特に丁寧に洗いましょう。
③ではいよいよ三枚おろしを行います。
まずは背びれと尻びれのちょっと内側あたりの皮を切って包丁を入れるガイドラインを作ります。
ガイドライを入れた所から包丁をまな板と並行よりちょっと立てる感じで切っていきます。この時中骨に当たってカリカリ音がしているとかなり上手に卸せています。アマダイは身が柔らかいので、できるだけ包丁を入れなおす回数は少なく卸したいです。
背中側も腹側も中骨まで包丁が到達すると、身と中骨を切り離します。この時大きな魚だと腹骨と中骨の接合部分がけっこう固いので、、、頑張って切断してください笑 軍手をはめたり尻尾の部分にタオルを巻いて滑りにくくするとやりやすいですよ!
半身がおろし終えると、逆側も同じようにしておろしていきます 。片身おろしている分厚みが無いので、手がまな板に当たってやりにくい!と感じる方もいらっしゃると思います。そういった場合はまな板の端っこに身を置いておろすとまな板の厚み分、身が浮いている状態になるのでおろしやすいですよ!
これで三枚おろしは完成です。
④続いて腹骨を剝いていきます。
腹骨を剝くときは一旦腹骨と血合い骨の接合部を断ち切っていかなければなりません。(ちょっとだけ力入れます。)
接合部を断ち切ったら、腹骨に沿ってできるだけ薄ーく身から腹骨を剝き取ります。多分ここが魚をおろす工程で一番難しいです。ハラミが薄かったり骨がかなり入り込んでる場合は思い切って切り取っちゃってもいいと思います。
⑤次は血合い骨を除去していきます。
骨抜きのピンセットなどで一つ一つ抜いていくのもありなのですが、めんどうなので今回も身を割って取り除いていきます。
血合骨は見ても大体分かりますし触ってみてもわかるので、その骨のギリギリを狙って切っていきましょう。
血合い骨を除去すると、全く骨の入っていない身が完成しました。この状態を「柵」と言います。
⑥次に皮を引いていきます。
皮引きの際は端から2cmくらいに皮を切断しない程度の切れ込みを入れます。
そのまま刃を身のたくさん残っている方に向け、包丁をまな板とほぼ平行に傾けて皮から身を剥がすように削いでいきます。この時、包丁を滑らすと同時に端から2cmの部分をもって包丁の刃と反対方向に引っ張ると上手く皮を引くことができます!
今回の皮引きは下手ですね。 皮と身の間には旨味のある脂がたくさんあるので上手くなったらギリギリを責めるとおいしいお刺身が作れます。
後は刺身状に切って盛り付ければ完成です。
実食!
お刺身:食感はどちらかというと柔らかめで多少ねっとりとした感じでした。口に入れた瞬間からしっかりとした旨味が口いっぱいに広がります。しかしその旨味は全くくどく無く、飲み込んでしまうとさっぱりとした後味が一瞬だけ残ってすぐ消えます。なのでとどまることを知らず次々食べてしまい、気付いたら無くなっていました。味はしっかり濃いのに後引かないという上品な旨さだと思いました。
湯引き:食感は刺身の時とは打って変わってふわっふわでした。食べてみると皮目からは独特の甘味が溢れ出し、身のふわふわに対して皮目の適度な触感がアクセントになっており、「甘鯛はこの食べ方が正解だ」と思いました。
ただ刺身の時には分からなかった磯の香りが多少するので(処理の問題かもしれないが)魚好きにはたまらないですが、魚が苦手な方は刺身の方が食べやすいかもしれません。
炙り:炙った皮の香ばしい香りが何とも食欲をそそる一品に仕上がりました。食感としては皮のパリパリとしており、火が通った表面の身はふわふわで、中心の火が通っていない部分は柔らかくねっとりとしていてさまざまな食感を同時に楽しむことができます。皮目の旨さは残り、それでいて皮の磯臭さは炙ったことにより消されており、クセなく食べるには最もおすすめの食べ方だと思いました。
魚の便利帳記入
では15種類目を記入致します。※魚の便利帳300種全部食べようという設定です 。
では次回、、、こうご期待下さい!
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