謎の魚~旬や栄養素と捌き工程~

魚の便利帳食べつくす

どうも、コウヅです。
今回の魚は、、、名前分からないんですよね笑 鮮魚店で購入したのに名前をど忘れしたという凡ミス。レシートを見ても「鮮魚」としか書いていない。図鑑を見てもいまいち似ているのが無い。そんな謎の魚がこいつです。

図鑑で一番似ていたのが「ソイ」だったのですが、確証が得られない。読んでいただいているみなさんに適当なウソは付けない。と困った私はダメ元で最近ハマっているYOUTUBER?の「変な魚おじさん」と魚芸人「ハットリくん」にtwitterで写真と共に「この魚の名前を教えてください。」というメッセージを送りました。すると魚芸人「ハットリくん」から返信メッセージが届いたのです!

めちゃくちゃいい人!!こんな訳分からないやつからのメッセージにも真剣に答えて下さって、とても丁寧で的確な回答を頂きました。魚芸人「ハットリくん」本当にありがとうございました!
という事で、この謎の魚は「タヌキメバル」という事が判明いたしました。

タヌキメバルは北海道から九州まで日本全国幅広く生息しています。水深も100m程度までと比較的浅瀬に生息しており、春頃には出産の為沿岸に寄り付くので堤防からでも釣ることができる魚です。
しかし侮る事なかれ!クセのないとても上品な白身故に真鯛の漁獲量が少ない北部では「北の鯛」と称されるほど重宝される人気の魚なのです。最大サイズは60cmほどで大きくなればなるほど脂の乗りがよくなるのですが、タヌキメバルはけっこう長生きで寿命は10年以上もあるようです(成熟するのにも4~5年かかる)。なので小さいタヌキメバルは釣ってもできるだけ逃がしてあげたいですね。またタヌキメバルは沖メバルと同じく卵胎生(お腹の中で卵を孵す)の魚で、冬場に水深の深い沖で交尾し、春になると稚魚のため危険をかえりみずに一生懸命(?)浅瀬に寄って初夏に稚魚を出産します。なので大きいタヌキメバルを釣っても稚魚を持っているやつできるだけ逃がしてあげてください。(タヌキメバル保護団体の人?笑)
タヌキメバルには別名がたくさんあり、真ソイやツジノミ、キツネメバルなどとも呼ばれています。しかし、近年タヌキメバルとキツネメバルは別種であるという事が判明しました。Twitterでハットリくんが解説してくれたように、タヌキメバルの方がやや深場に生息するといった特徴はあるようですが、その判別はとても難しい上に異種交配して混ざった個体も少なくない為、総称である「真ソイ」として売っている事が多いです。もし判別されて並んで売っていたりしたら是非とも食べ比べてみたいですね!

旬と栄養素

旬は晩秋から冬で、主に11月から2月頃が最も美味しい時期です。タヌキメバルは卵胎生なので産卵(出産?)時期は春から初夏なのですが、交尾時期は真冬なので一般的な魚で言う産卵期1,2月頃になります。産卵期前には脂肪分や栄養を蓄えるため、晩秋から冬のタヌキメバルはたっぷり脂が乗っていてとても美味しい状態なのです。

栄養素として特徴的なのは…すみません、いつも参考にしている「文部科学省 食品成分データベース」にはタヌキメバルのデータは載っていませんでした。しかし色々調べていると近い栄養を持つ魚としてメバルが挙げられていたので、メバルの栄養素を参照していこうと思います。
沖メバルの記事でも書いたようにカルシウムは他の魚に比べ突出して多いのですが、次いで特徴として挙げられる成分はビタミンEなんです。ビタミンEは抗酸化作用があり、体内に存在する脂質の酸化を防いでくれる働きがあります。その結果、体内の細胞膜の酸化による老化や、血液中のLDLコレステロールの酸化による動脈硬化防ぐことができます。さらに、赤血球の破壊を防いだり、過酸化脂質の生成を抑制して血管を健康に保つ働きがあるなど、老化・生活習慣病の予防にはうってつけの栄養素なのです。血行不良による冷え性・頭痛、紫外線を浴びすぎてできたシミ・シワなどに悩んでいる方はタヌキメバルをたくさん食べればもしかすると改善するかもしれませんね!

捌き工程

※一応断っておきますが、僕はめちゃめちゃ素人なので「捌き方教えます」という感じでは無く、「YouTubeを駆使して捌き方を見様見真似でやってみたらこんな感じになりました」という体験記的なものという認識で読み進めてもらえると幸いです。(ホントに上手くなるまでこれ毎回書こう。)

まずはウロコを取ります。
ウロコ取り機がある方はそれを使っていただいて、無い方は包丁を使って尻尾から頭の方に向かって逆撫でしていけば簡単に取ることができます。水道水をかけながらウロコ取りをすると飛び散らずに済むのでおすすめです!
ウロコを取り終えると次は頭を落として内臓を取り出します。
魚の頭を落とすとき骨が固くてなかなか切断できない場合があります。そういった場合は骨の関節部分を探ってそこから切断すると包丁を傷付けず、簡単に落とすことができます。このサイズだとそんなに心配することは無いですけどね~。
また、骨を切断した後は完全に胴体と切り離すのではなく、内臓を傷付けないように身の部分だけを切って頭を引っ張ります。

すると頭に内臓がくっつてきて簡単に内臓を取ることができます。この方法だと肝を傷付けずに済んだり、苦玉(苦い液体の出る内臓)を割らずに内臓を取り出すことができます。

微グロのため内臓を撤去した写真を載せています。

ではいよいよ三枚おろしを行います。と、その前に魚体とまな板はしっかり水気をとってから三枚おろしをしましょうね↑
三枚おろしをする時は最初に背びれと尻びれのちょっと内側あたりの皮を切って包丁を入れるガイドラインを作ります。

ガイドライを入れた所から包丁をまな板と並行よりちょっと立てる感じで切っていきます。この時中骨に当たってカリカリ音がしているとかなり上手に卸せています。背中側も腹側も中骨まで包丁到達すると、身と中骨を切り離します。この時大きな魚だと腹骨と中骨の接合部分がけっこう固いので、、、頑張って切断してください笑 軍手をはめたり尻尾の部分にタオルを巻いて滑りにくくするとやりやすいですよ!

腹骨と中骨の元接合部分

半身がおろし終えると、逆側も同じようにしておろしていきます 。片身おろしている分厚みが無いので、手がまな板に当たってやりにくい!と感じる方もいらっしゃると思います。そういった場合はまな板の端っこに身を置いておろすとまな板の厚み分、身が浮いている状態になるのでおろしやすいですよ!

これで三枚おろしは完成です。
続いて腹骨を剝いていきます。腹骨を剝くときは一旦腹骨と血合い骨の接合部を断ち切っていかなければなりません。(ちょっとだけ力入れます。)

腹骨と血合い骨の接合部

接合部を断ち切ったら、腹骨に沿ってできるだけ薄ーく身から腹骨を剝き取ります。多分ここが魚をおろす工程で一番難しいです。ハラミが薄かったり骨がかなり入り込んでる場合は思い切って切り取っちゃってもいいと思います。

!?

めっちゃ入り込んでたんですよ、いや、ホントに…。
おいしい腹身の味噌汁行きが決まったところで、次は血合い骨を除去していきます。骨抜きのピンセットなどで一つ一つ抜いていくのもありなのですが、めんどうなので今回も身を割って取り除いていきます。
タヌキメバルは腹身辺りまでしか血合い骨は入っていませんでした。

血合い骨のある部分だけ切り取った。

血合い骨を除去すると、全く骨の入っていない身が完成しました。この状態を「柵」と言います。こんな変な形でも柵というのかはわかりませんが、とりあえず今回はこれを柵としましょう。
次に皮を引いていきます。皮引きの際は端から2cmくらいに皮を切断しない程度の切れ込みを入れます。

そのまま刃を身のたくさん残っている方に向け、包丁をまな板とほぼ平行に傾けて皮から身を剥がすように削いでいきます。この時、包丁を滑らすと同時に端から2cmの部分をもって包丁の刃と反対方向に引っ張ると上手く皮を引くことができます!

今回は50点といったところでしょうか。皮と身の間には旨味のある脂がたくさんあるので上手くなったらギリギリを責めるとおいしいお刺身が作れます。
後は刺身状に切って盛り付ければ完成です。

ハタ系のようなうっすら虹色の輝きがあります。

実食!

タヌキメバルは固くも無く柔らかくもないという身質で、少しねっとりしたような食感でした。さくっと歯で切れるような身質では無かったので細かくなりにくく、またじっくり噛み続けると旨味がどんどん出てくるという感じだったので、ゆっくりお酒を飲みながら食べるのにちょうどいい魚でした。また、少しねっとりした特徴の影響でのど越しがとてもよかったです。

魚の便利帳記入

みなさんおなじみ魚の便利帳

では第12種類目を記入致します。 ※魚の便利帳300種全部食べようという設定です 。
けっこう珍しい魚と思っていたんですけど、載ってました。意外!(たぶん失礼)

では次回、大人気シリーズ(嘘)似ている魚を比較してみた~サッパ・コノシロ編~の記事を書きますのでよろしければそちらもご覧ください~!

記事を書いている人

魚好き。見るのも釣るのも捌くのも食べるのも。
色んな珍しい魚を食べていると突然「魚好きを増やしたい」と思い立ち、ブログや魚会を開き密かに活動中。
師匠は「気まぐれクックかねこさん」(ただの視聴者です)
みんな、魚たべよ!

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