カンパチ~旬・栄養素・捌き工程~

魚の便利帳食べつくす

どうもコウヅです。
今回はカンパチについて書いていこうと思います。

カンパチの豆知識

カンパチって名前は聞いたことあるし、お刺身は食べた事あるけど実際どんな形なの?ブリとは違うの?と思う方が多いと思います。そんな方の為に、カンパチはとはこういう魚です。

ブリと同じ種類?

ブリに似ていますが、ブリとは別の魚です。出世魚で呼び名が違うだけとかでもないです。学術的にはどちらもスズキ目アジ科ブリ属と分類は同じですが、大きさにかなり違いがあってブリの最大サイズが約40kgに対し、カンパチは約80kg2倍近く違うのです。見た目もよく見るとカンパチは茶色っぽくて、二枚目の写真を見ていただけると分かるように目の上に眉毛のような黒い線があります。この線が左右対称に入っており、上から見た時に八に見えることからカンパチと名付けられたとも言われています。
つまり上から見るとこんな感じなんです。

※魚です。

実は出世魚

カンパチもブリと同じく出世魚であり、大きさによって名前が変わります。関東では小さい順にショッコ→シオゴ→アカハナ→カンパチとなります。僕が昔住んでた九州では小さいカンパチは全部ネリゴと呼んでいたので、こんなに細かく分けられていたとは思いませんでした。どのくらいの大きさによって名前が変わるかは厳密には定まっておらず、地域もしくは個人によってバラバラです。まぁだいたい70~80㎝以上はどこでもカンパチって呼んでいると思います。

寒がりな奴

カンパチはブリに比べてかなり温暖な海域に生息しています。日本の海で言うと太平洋側では北海道にも生息しているのですが、日本海側では東北までしかいません。しかも夏の暑い時期にしか東北・北海道にはおらず、段々寒くなるにつれて温かい海へ南下していきます。定住するタイプでは無いんです。人間でいうと「夏は暑いから避暑しに北海道行くけど冬は寒いからハワイで暮らしてまーす。」的な感じですかね。贅沢な奴ですね。南は沖縄以南にも生息しており、熱帯の海域でも普通に生きていけるようです。本州でも沖縄でも採れる数少ないメジャーな魚なのではないかと思います。

肉食系

カンパチは典型的なフィッシュイーター(魚を食べる魚)で鯵やイワシなどの小魚やイカ・タコなどの頭足類、またカニやエビなどの甲殻類も好んで食べます。幼魚の時はオキアミなどの動物性プランクトンも食べるのですが、成長するとほとんど興味を示さず、魚ばっかり食べます。ぶりと比べてもその特徴は顕著なので、カンパチを狙って釣りをする場合はオキアミで狙うのではなく、ルアーや泳がせ釣り(生きた魚に針を付けて泳がせる)などで狙うと効果的です。

意外と賢い?

カンパチは基本群れで行動し小魚の群れを見つけると捕食します。一旦襲い掛かると当然小魚の群れはバラバラになってしまします。そこでカンパチはそのバラバラになった群れを執拗に追い回さず、一旦離れてもう一度群れが集まるまで待つのです。そうしてまた群れが集まった瞬間に捕食を始めます。効率的で頭のいい行動ですよね。またこの前YOUTUBEで見たのですが、カンパチは手をひらひらさせると群れで寄ってくるみたいなんです。そしてある程度の近さまで来てエサじゃないと判断すると離れていくそうです。この行動は他の魚にはほとんど見られないんです。頭がいいかどうかはよくわかりませんが、ちょっとかわいいですよね!

旬と栄養素

は主に夏から秋にかけてだと言われています。生息域が広いので場所によって異なりますが、日本近海では産卵期が4~6月頃であり、産卵を終えて体力が回復した辺りの8月・9月頃が最も美味しい時期だと言えるでしょう。しかし、先ほども言いましたが生息域が広いので採れる場所で水温が変わるため産地によって旬も変わってくるので、一概に8、9月が旬とも言い難いのです。また一年を通して味の変化が少ない魚でもあるため旬は「一応」で、いつ食べても美味しいですよ!

栄養素として特徴的なのは青魚の割に高タンパク低カロリーな点です。ブリやサンマなど他の青魚は100gあたりの脂肪分が15gを越えておりけっこう高カロリーなのですが、カンパチは100gあたり4.2gとかなり少ないのです。
また、ミネラルやビタミンを豊富に含んでいるのも特徴の一つで、特にカリウムナイアシンが多いです。
カリウムは体内の余分な塩分を尿として体の外へ排出する作用があり、血圧を下げる効果が期待されます。高血圧の方はもちろん、むくみに悩まされている方にもおすすめの栄養素です。
ナイアシンは糖質や脂質などの栄養素をエネルギーに変えるさまざまな酵素の補酵素としての役割があります。例えば細胞の生まれ変わりを助けきれいな肌を保つ効果があり、しみやしわ、ニキビ予防に効果があります。また、精神病にも効果があり「うつ」の原因の一つと言われているセロトニン不足を解消してくれます。さらに自律神経のバランスを保つ作用もあるため不眠症解消効果もあり、快眠ビタミンとも呼ばれているようです。他にも色々な効果があるようなので、「カンパチめっちゃ食べてたら不調が治った!」ってこともあるかもしれませんね。

捌き工程

※一応断っておきますが、僕はめちゃめちゃ素人なので「捌き方教えます」という感じでは無く、「YouTubeを駆使して捌き方を見様見真似でやってみたらこんな感じになりました」という体験記的なものという認識で読み進めてもらえると幸いです。(ホントに上手くなるまでこれ毎回書こう。)

① まずはウロコを取ります。
カンパチのウロコはとても細かいので、ウロコ取りよりもペットボトルキャップで取る方が楽かもしれません。どちらも無い方は包丁でも構いません。いずれにしても尻尾の方から頭の方向に向かって逆撫でして取っていきます。水を流しながら行うとウロコが周りに飛び散りにくくおすすめです。上級者の方だとウロコと薄皮を包丁で削ぎ取る「梳き引きすきびき」という方法でウロコを取ります。これは捌き慣れていてかつめっちゃ切れる包丁が無いとできない技なので、腕に自信のある方のみ挑戦してみてください。僕は遠慮します

この状態から胸ビレをクルっと回して…
エラにしまうとやりやすい。

② 頭を落として内臓を取り出します。
魚の頭を落とすとき骨が固くてなかなか切断できない場合があります。そういった場合は骨の関節部分を探ってそこから切断すると包丁を傷付けず、簡単に落とすことができます。
また、骨を切断した後は完全に胴体と切り離すのではなく、内臓を傷付けないように身の部分だけを切って頭を引っ張ります。

すると頭に内臓がくっついてきて簡単に内臓を取ることができます。
(微グロのため内臓は映しません。)
………!?

イカ…。

何とこのイカ、胃袋の中からそのままの姿で出てきました。
さすがに衛生的に良くないので食べはしなかったですが、普通においしそうなイカですよね。いいもん食ってんなぁ。

内臓を取り除いた後はお腹の内側の背骨についている血合いをキレイに洗い流しましょう。
指でも取れますが、使い古した歯ブラシなどを使えば簡単かつ綺麗に取り除けますよ。
この部分が劣化や臭みの原因になるので、寝かせて保存する場合などは特に丁寧に洗いましょう。

③ではいよいよ三枚おろしを行います。
まずは背びれと尻びれのちょっと内側あたりの皮を切って包丁を入れるガイドラインを作ります。

ガイドライを入れた所から包丁をまな板と並行よりちょっと立てる感じで切っていきます。この時中骨に当たってカリカリ音がしているとかなり上手に卸せています。 あまり包丁を立てすぎると中骨の反対側を切ってしまうので、ちょっと身が残るかなと思っても最初の内はなるべく平行に近い形で卸すのが良いと思います。
背中側も腹側も中骨まで包丁が到達すると、身と中骨を切り離します。この時大きな魚だと腹骨と中骨の接合部分がけっこう固いので、、、頑張って切断してください笑 軍手をはめたり尻尾の部分にタオルを巻いて滑りにくくするとやりやすいですよ!

半身がおろし終えると、逆側も同じようにしておろしていきます 。片身おろしている分厚みが無いので、手がまな板に当たってやりにくい!と感じる方もいらっしゃると思います。そういった場合はまな板の端っこに身を置いておろすとまな板の厚み分、身が浮いている状態になるのでおろしやすいですよ!

これで三枚おろしは完成です。
④続いて腹骨を剝いていきます。
腹骨を剝くときは一旦腹骨と血合い骨の接合部を断ち切っていかなければなりません。(ちょっとだけ力入れます。)

腹骨の先端

接合部を断ち切ったら、腹骨に沿ってできるだけ薄ーく身から腹骨を剝き取ります。多分ここが魚をおろす工程で一番難しいです。ハラミが薄かったり骨がかなり入り込んでる場合は思い切って切り取っちゃってもいいと思います。

⑤次は血合い骨を除去していきます。
骨抜きのピンセットなどで一つ一つ抜いていくのもありなのですが、めんどうなので今回も身を割って取り除いていきます。

線の間に血合い骨があります。

血合骨は見ても大体分かりますし触ってみてもわかるので、その骨のギリギリを狙って切っていきましょう。

血合い骨を除去すると、全く骨の入っていない身が完成しました。この状態を「」と言います。
⑥次に皮を引いていきます。
皮引きの際は端から2cmくらいに皮を切断しない程度の切れ込みを入れます。

そのまま刃を身のたくさん残っている方に向け、包丁をまな板とほぼ平行に傾けて皮から身を剥がすように削いでいきます。この時、包丁を滑らすと同時に端から2cmの部分をもって包丁の刃と反対方向に引っ張ると上手く皮を引くことができます!

これが
こうなるわけです。

皮と身の間には旨味のある脂がたくさんあるので上手くなったらギリギリを責めるとおいしいお刺身が作れます。目安としては銀色の部分がたくさん残っていると上手く引けたと思っています。(魚による)
後は刺身状に切って盛り付ければ完成です。

大トロ部分

実食!

カンパチの食感は貝のように固すぎず、それでいてしっかり歯切れのいいコリコリさがありました。腹身(トロの部分)の端は他よりも固く、一晩か二晩寝かせて食べると良いと思います!
味はとっても旨味が強く、じっくり味わなくとも口に入れた瞬間からすぐ美味しい系の魚です。それでいて臭みやくどさは全く無く、青物の中ではとても食べやすい魚だと思いました。

半身余ったのでコブ締めにして2日間熟成させました!

この状態で保存
いい感じに水分が抜けてる

コブ締めにして2日寝かしたことにより、食感はコリコリから柔らかく少しねっとりとするようになりました。味は昆布の旨味(グルタミン酸)がしっかりと染み込んでおり、尚且つ熟成したことによってカンパチ本来の旨味(イノシン酸)が引き出され、醤油無しでも十分なほどに濃厚な味になっていました。やはり魚と昆布の相性は抜群だと改めて思いました。

魚の便利帳記入

みなさんおなじみ魚の便利帳

では16種類目を記入致します。※魚の便利帳300種全部食べようという設定です 。

では次回、嫁に食わせたくない魚??「カマス」の記事を書きますので、よろしければそちらもご覧ください~!

記事を書いている人
kozu@soichiro

魚好き。見るのも釣るのも捌くのも食べるのも。
色んな珍しい魚を食べていると突然「魚好きを増やしたい」と思い立ち、ブログや魚会を開き密かに活動中。
師匠は「気まぐれクックかねこさん」(ただの視聴者です)
みんな、魚たべよ!

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